農薬

1. 農薬の毒性2. 化学物質過敏症 3. 農薬の被害4. 農薬の一日許容摂取量(ADI)
5. 残留農薬基準6. ポジティブリスト制度7. 農薬のドリフト(飛散)対策
8. 現状の農薬散布の問題点(耐性菌・耐性虫)9. 環境への負荷(生物多様性の破壊、土壌消毒)
10.団粒構造の破壊

2. 化学物質過敏症

非常に微量の薬物やある種の化学物質の摂取によって健康被害の症状が引き起こされます。人体の薬物や化学物質に対する許容量を一定以上超えると引き起こされるとされており、個人差が大きいといわれています。化学物質の摂取許容量と同様に、発症原因および症状、その進行・回復速度や度合いも多種多様です。

3. 農薬の被害

農薬の登録は基本的には農薬取締法で取り締まられています。必要とされる毒性試験の項目は表1の通り、約20項目ありますが、この毒性試験の結果は登録前に公表されることはなく、登録後もほとんど公開されません。試験結果をもとに外部の人が毒性を評価することはできませんし、すべて農水省に任されています。また、残留基準、安全使用基準といった基準は先の毒性試験と農薬会社が示した農薬の対象作物・散布量・濃度・使用時期などの適用方法とをあわせて、農作物への農薬の残留度が普通にその農作物を食べても害がないかどうかを判定する基準であり、農薬を散布する生産者があびる農薬量が考慮された基準ではありません。農薬使用者の被爆があった場合、安心できる材料はほとんど用意されておらず説明も不十分な状態です。例えば、安全使用上の注意事項には「散布は涼しい時間に行う、一人で長時間継続して作業しない、風向きなどに注意する」といったことが書かれていますが、水田や畑の地理的条件や個人的に農業をする人が多い状況を考えるとなかなか難しい面があるのではないでしょうか。 生産者については自己管理に任されていて、農薬による健康被害から生産者を守る保護法はありません。農薬の最大の使用者は生産者であり、また農薬は農作物の栽培補助として用いられることを目的としている以上、生産者に対する保護はあるべきではないでしょうか。

登録に際して必要とされる毒性試験

○ 必要 △ 場合によっては提出 ×不要
    食用 非食用 原体 製材
1 急性経口毒性試験成績
2 急性経皮毒性試験成績
3 急性吸入毒性試験成績
4 眼一次刺激性試験成績 ×
5 皮膚一次刺激性試験成績 ×
6 皮膚感作性試験成績 ×
7 急性遅発性神経毒性試験成績 ×
8 亜急性経口毒性試験成績 ×
9 亜急性経皮毒性試験成績 ×
10 亜急性吸入毒性試験成績 ×
11 亜急性神経毒性試験成績 ×
12 慢性毒性試験成績 ×
13 発がん性試験成績 ×
14 繁殖試験成績 ×
15 催奇形試験成績 ×
16 異変原性試験成績
17 生体内運命に関する試験成績
18 生体内に及ぼす影響に関する試験成績
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