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・ 「農家とつながるパンセミナー」パンシェフ、小麦農家対談

20131212日レコールバルタン大阪校で「農家とつながるパンづくり~顔の見える農産物を生かしたパンセミナー~」が開催されました。

セミナーで行われたパンデュース米山シェフと北海道十勝の小麦生産者土蔵氏による対談の内容をご紹介します。アグリシステム伊藤専務も参加しています。

 

 

米山 パンが作られているところを見るのは初めてですか?

土蔵 北海道本別町のお菓子屋さんでうちの小麦を使って菓子を作るのは見ましたが、プロの方がパンを作るのは始めて見ました。カミさんが家でたまに作っているのは見ますが・・・

米山 ご自身の小麦からパンが作られるのを見てどんな気持ちですか?

土蔵 究極の形になってきたというか、自分が思い描いていた事に近づいてきました。父が昔からやりたかった事であり、もっと早くやりたかったのですが、「やっとお前がやってくれたか」と父親が言ってくれました。

米山 アグリシステムのおかげというか・・・

土蔵 そうですね。個人選別というのはアグリシステムじゃないと今の所、無理だと思います。そこは感謝しています。

農場では4品種作っています。今回講習で使われた「きたほなみ」だけを作っているわけではなく、アグリシステムの求めている物(数量・品種)を作っているので、お客様の要望に応えるために努力しなければならないと思っています。

米山 去年、北小麦(北海道産小麦)が暴落しましたが、単純に同じ量の小麦を生産しても収入が減るということになる。作れと言われて作って、作り過ぎて暴落したから安く買い取られるということになります。

土蔵 去年と今年では話がガラッと変わります。毎年ギャンブルのようなものですね。ギャンブルをいかに仕事として成り立たせるかが問題です。

米山 作付するときは価格はわからないものですか?

土蔵 前年の数字から推定して作付しています。

米山 我々もパンがいくらで売れるのか、プライスリーダーは誰なのかという問題があります。アグリシステムでは、小麦の入札価格に応じて買入れ価格を変えていますか?

伊藤 はい、変えていますが、将来的には自社基準を設けて行きたいと思っていま

す。

米山 やはりアグリシステムでも変わるのですね。

伊藤 現在、等級検査については外観で大部分が決められることになっていますが、見た目だけではなく、成分に基づいた基準にしていきたいと考えています。また、ランクについては蛋白、灰分、アミロ、容積重やフォーリングナンバーの値にもとづいて決められますが、こちらも年度の状況や品種、品種の用途に応じて、自社基準をつくっていきたいと思っています。

土蔵 小麦は収入が少ないので作らないという農家もいますが、個人選別・乾燥工場を持って積極的にやっている人も多いです。

 

 

米山 甲子園球場13個分の面積の土蔵さんの農場では単純に1つの品種の小麦を作った方が生産性は良いわけですね?

土蔵 そうですね。仕事も早く終わります。

米山 何品種も作っているのはなぜですか?

土蔵 同じ畑で同じ作物を作り続けると、病気や虫が蔓延してしまい、連作障害を起こします。それを避けるために輪作を行ないます。

米山 数品種の小麦を作られているのはなぜですか?

土蔵 それは求めに応じてということです。アグリシステムのフィルドマンから来年の消費動向などの情報を得て、最終的に決めます。

米山 品種により作りやすさ、価格などに違いはありますか?

土蔵 価格は高いものと安いものとでは50%ぐらいの差があります。

米山 かかる手間はどうですか?

土蔵 手間はそれほど変わりません。うまく作るポイントはタイミングです。播種時期から収穫時期まで全てのタイミングをわかっている人がうまくできます。畑全体を一時に収穫しようとしてもうまく行きません。よいものを作るには、個人でやっていくのが一番良いのではないかと思います。

米山 価格の高い品種を作った方が収益は良くなりますね。

土蔵 去年あたりは「ゆめちから」が高価格でした。

米山 それで作付が増えたのですか。

土蔵 本当に小麦を上手に作ることができる人が「ゆめちから」を作って、世の中に広めて行くというのが良いと思います。

米山 なるほど。

土蔵 誰にでもやらせてはいけないと思います。パンでも同じだと思います。

米山 今年の土蔵さんの小麦と来年の土蔵さんの小麦は同じではないように、パンでも毎日同じものを作ることはできません。ある程度のレベルを超えたものを作ろうと努力しています。吸水が変わるのも当たり前ですし、ワインのビンテージと同じで「何年物がよかったよね」というのが普通の作物だと思います。それがパンの工業化にともない、同じ吸水で、同じやり方で作れば同じパンができるということが求められるようになりました。しかし、土蔵さんの畑を見て、考え方を知って、「土蔵さんの小麦を使いたいな」と思う人がいたならば、それに応えられるのはアグリシステムしかいないと思います。

伊藤 それはやりたいことです。生産者さんの名前だけではなく、その生産者さんの想いや栽培に対するこだわり、栽培方法などを伝えてそれをパン屋さんが選んでいくようなカタチにできればと思います。今後はそういったご要望について積極的に対応していきたいと思っています。

米山 オーガニックの小麦はまろやかな感じで、雑味、えぐみが少なく、これは品種の差ではなくて栽培の仕方の差なのかなと思います。このあたりは僕らにはわからない部分ですが、その差はあるのかなと感じています。

伊藤 野菜はもっとわかりやすくて、ほうれん草の場合、えぐ味が出るのは化学肥料の多投による硝酸態窒素の過多が原因です。土作りをきちんと行った有機栽培などで育てると、硝酸態窒素が発生しずらくなり、えぐ味がなくなるので、生でも食べられるようになります。このことは小麦にも言えることだと思います。

 

 

米山 先日アグリシステムの勉強会に参加しました。150名くらいの農家さんが参加していましたが、イメージと全然違って、皆さん、苦労されながらも前に進んでいる方が多いことに驚きました。

TPPについて農家仲間で話すことはありますか?小麦農家としては脅威とは

思っていませんか?

土蔵 確かに脅威ではあると思います。大きな変化が出てくると思いますが、一番考えられるのは仲間が淘汰されるということだと思います。淘汰されると日本の風景が変わって行きます。残った農家が農地を買い上げてやって行こうと思っても限界があります。危惧しているのはその辺りです。

米山 アグリシステムさんが販売ルートを確保するということが重要になって行きますね。TPPで外麦やその加工品が安くなって入って来るという状況になると、アグリシステムさんのような取引先は絶対必要となります。

土蔵 何が来ても負けないというような意識を皆がもって、農家一人一人がパン屋さんとつながって行けば乗り越えられると思いますが、こういう意識を持っていない農家がいるというのも事実です。

伊藤 生産者さんとパン屋さんが本質的な取り組みを通じてつながっていくことが最も重要だと思います。モノとして売るのではなく、一人ひとりの生産者さんのストーリーをしっかり伝えていく、そしてそんな生産者さんからつくられるものは高品質で美味しいものであってほしいと思います。

土蔵 実際うちの粉を使ってみてどうですか?

米山 僕も、もともと、農家さん限定というか、顔の見える方が良いという思いがあり、国産小麦を使うことからスタートしました。イベント的に使ってみたのがキッカケでしたが、スタッフが「美味しいから製品化したい」と言ってきました。来年の夏にまた土蔵さんの農場を訪問したいと思いますが、このような風景、このような畑で、このように作っているということがわかれば、僕からお客様に情報を発信することができます。産地の風景を語ることは今までできなかったことなので、ありがたいことだと思っています。

土蔵 「はるきらり」という品種についてはどうお考えですか?

米山 もともとは「はるゆたか」が好きで、今でも「はるゆたか」の全粒分タイプを使っています。はいりやすいという意味では「春よ恋」がある。「春よ恋」と「はるゆたか」をベースとして持っていました。その流れで言うと、「はるきらり」は使いやすさはあると思う。味の部分で言うと、もう一歩欲しい感じはあります。しかし、作る農家さんによって味に差が出るということもあると思います。

土蔵 同じ品種でも畑によって味に差が出るということがあると思います。畑の地力などが関係しているので、いい加減にはできません。

米山 レシピよりもパンのつくり方で美味しいかどうかが決まります。これは小麦の栽培と同じです。将来的には「ゆめちから」「はるきらり」というように品種で売るのではなくて「〇〇さんの〇〇品種」というふうになるのではないかと思います。

土蔵 僕はその方が良いと思います。

伊藤 それが最高のブランディングだと思います。土蔵さんは顔が見えるようになったことで生産に対する責任が一層大きくなったと言われます。中途半端なものはつくれないと言われます。パン屋さんや消費者との間に本来的な信頼関係ができれば品質への責任も大きくなり、良いものができてきます。そしてパン屋さんや消費者はその製品を選び続けます。そうすればTPPもこわくないと思います。

米山 「どこそこの誰々さんが作った何々という品種を使ってこのパンを作りました」と言えるようになれば良いと思います。TPP対策で国産小麦を使用しているのではないのですが、個人のパン屋さんが生き残っていくのは、当然、もっと厳しくなって行くと思います。そんな中で、うちでは国産小麦を前面に出してはいませんでしたが、今後は品種別でパンを作れたら良いと考えています。それプラス、使用している品種の割合も表示して行くことが一番わかりやすいことだと思っています。現状ではそれが出来ます。同じ方向を向いていてくれる農家さんがいることは大変ありがたいと思っています。それもこれも、アグリシステムさんがいてくれるからそういうつながりが持てると思います。(たまには感謝の言葉を言っとかないと・・・)

 

 

質問コーナー

土蔵さんへの質問

質問者A ゆめちからの穂発芽のことについてお聞きしたいのですが、雨の当たらない状態のものでも穂発芽するケースがありますか?

土蔵 あります。穂発芽のレベルとしては何万粒に1粒程度です。個別選別なので穂発芽している例が確認することが出来ました。穂発芽が出ていない人もいるので品種的な難しさもあるのではないかと思います。

質問者A ほかの品種でもそういう例はありますか?

土蔵 ありません。ただ、今年から作り始めたキタノカオリは一雨ごとに穂発芽してしまうぐらいシビアな品種だと感じています。

質問者B 十勝で育てるのに一番適している小麦の品種は何だと考えていますか?

土蔵 十勝全体で考えると、「きたほなみ」が一番良いと思います。強力系は難しい面があると思います。

質問者B パン用の強力系を作れるようにするには土を変えていけば良いのでしょうか?

土蔵 私の場合は小麦の殻を牧場に渡して堆肥にしてから土に還元しています。十勝は土作りに関しては進んでおり、良い土になっています。

質問者C 品種改良で十勝にあう品種を作れば良いのではないですか?

米山 品種改良は研究機関で行っていて、1品種改良するのに10年くらいかかると言われ、「ゆめちから」も相当の年月をかけて誕生した品種です。

土蔵 品種が変われば栽培方法も変わってきます。

米山 使い方も変わってきます。農作物なのでそれを楽しみながら、苦労しながらパンを作るということが面白みの一つでもあります。品種が変わっても同じ使い方をしていたのではうまく行きません。

質問者C リテールベーカリーとしては、そういう事を認識しながら、ブレンドする技術を身に付けていかなければならない。それが出来るかどうかという事になってきます。

米山 それを興味をもってやっていかないといけないと感じています。昨日と同じ作り方をするから違うパンが出来る。昨日と違う作り方をするからいつもと同じパンが出来るということです。そういう意味では、使いにくいと言えば、たしかに、使いにくいのですが、腕の見せ所と言えば腕の見せ所です。個人のパン屋さんが生き残って行くためのひとつの道です。

質問者C 職人冥利に尽きるのは良い粉に出会えた時で、そういう時はわくわくします。「スム・レラ」を初めて使ったとき素晴らしいと思いました。

米山 素晴らしかったですか。

質問者C 香りが今までに無い素晴らしい粉だと思いました。100%で作りましたが、100%ではなくても数十%他の粉にブレンドしても、うまく使えば、「スム・レラ」の個性・風味・食感が出てきます。

米山 アグリシステムには大きな石臼があります。「スム・レラ」はその石臼で挽いた

    粉で、タイプ70ですが、この70というのが絶妙で素晴らしいのです。

伊藤 それでは、時間になりましたので終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 

 

 

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