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・ 社長フランス情報

アグリシステム社長伊藤英信は2014年1月にフランスを訪れ、パン及び有機農業の実情を視察しました。以下はその時の情報です。

 

社長フランス情報

 

フランスでは地方にパン文化が根づいている。現役バリバリのパン職人の店が片田舎にあったりする。

 

日本でいうフランスパンは、フランスでは安くて、1ユーロ(150円位)程度である。逆に、サンドイッチなどの調理パンは高い。

 

パリの旧市街にはパンの店がたくさんある。パン屋と菓子屋の中間くらいの店もある。パンのレベルはフランスでもばらつきがあり、パリのパン屋がすべて良いというわけではないようだ。日本に出店しているのはトップクラスのパン屋だと思う。下の写真はモンマルトルのパン屋さん。

 

 

 

 フランスではその地方の小麦に合ったパンを作っている。小さな町でもパン店、菓子店が多い。東京の都心に出店してもおかしくないような店が田舎にある。下の写真は港町オンフールのパン屋さん。

 

 

 

 

今後は、日本でも、その地方の産物を使った、その地方に合ったパンが作られていくようになるのではないかと思う。十勝の小麦粉を使った十勝パンは可能性がある。

  

パンの店はフランスでは多店舗展開ができないが、日本に進出すると多店舗展開できると言われる。フランスでは職人を養成してもなかなか育たないそうである。

 

日本のパン業界はフランスに大きく影響され、フランス基準になっている。これには行き過ぎだと思う点もある。

 

フランスでも6次産業化が進んで来ており、パンを焼く農家が増えているそうである。我々も6次産業化としての「十勝のパン」を真剣に考えなければならない。

 

フランスの小麦粉は何十種類もある。日本ではゆめちからが出るだけでも大騒ぎになる。北海道ではこれから、小麦の品種を増やしていくことが必要だと感じた。

 

パリに高層ビルはない。狭い土地を有効活用している。伝統的なカフェは減ってきており、セルフ・スタイルのカフェが増えている。スターバックスも進出している。下の写真はセルフスタイルのカフェ。

 

 

フランスは階級社会で、貧富の差が大きいが、ホームレスでもペットを連れていたりする。

 

パリのオペラ座からルーブル美術館の間に日本人街があり、ここにラーメン屋がたくさんある。ここのラーメン屋は一日中、行列が絶えない。フランスでは外食が高く、最低でも20003000円はかかる。フランスのラーメン屋でも最低2000円は取られる。

 

フランス、コルマールのスーパーには150㎡くらいのBio(有機)コーナーがあった。Bio(有機)の小麦粉が1㎏、350円位で、普通の小麦粉はその半分位である。

 

 

パリの旧市街は観光地となっており、ものの価格が高いが、活気がある。旧市街には有機商品は見られなかったが、富裕層が有機商品を買い求めるようになってきているそうである。

 

「デメター」とはバイオダイナミック農法によってつくられた農産物或いはその加工品に与えられる認証のことであり、この認証を受けたものは最も信頼される製品としてヨーロッパなどでは高く評価されている。

 

フランスではデメターの農家が数百軒あって、そのうちの半分はワイン農家だそうである。デメターではないけど、バイオダイナミックをやっているという農家はたくさんあるそうである。

 

 

ドイツ国境のアルザス地方にはワイナリーが1000軒近くあり、そのうちバイオダイナミック農業をやっているワイン農家は10%位だそうである。バイオダイナミック農業をやっているワイン農家のうちデメターは20%位だそうである。地元の消費だけでは成り立たたず、観光客が消費を支えている。

 

 

スイス国境ではフランスからスイスに通勤している人が多い。その人たちを対象に有機食品を販売する農家もあるそうである。

 

フランスの気候は暖流の関係で温暖であり、ブドウの木は40年以上もつ。雑草は刈り取らず、倒す方法をとっていた。ブドウの木の間に大根を植えている例があった。

 

 

日本の農家戸数に対する有機農家の比率と、フランスのデメター農家の比率は同じくらいである。バイオダイナミックのワインは味の評価が高いので、ワイン農家のデメター取得が増えているそうである。

 

ISO認証や有機認証の仕組みはすべてヨーロッパからきている。デメターの認証は有機認証に組み込まれているおり、有機認証の検査員がデメターの基準で審査する。デメターの検査員がいるわけではない。

 

有機認証における日本の実態とヨーロッパの実態は全然違うようである。

 

フランスには文化の蓄積がある。植民地時代の産物が根づいている。チョコレート、ナッツ、乾しブドウなどがそうである。いままでの歴史が文化に組み込まれている。農家の時間軸が違うのではないか。

 

 

アメリカもそうだがフランスでは有機商品が足りなくなってきており、オーストラリアから輸入しているそうである。有機商品のPB化も進んでいるそうである。

 

日本で感じるフランスのイメージと現地の状況はまるでちがう。実際に、現地に行って確かめることは重要なことである。