経営理念の一番最初に掲げているのが「生きた土」。
収量を求め土地を拡大してきた近代農業はその発展と裏腹に土を破壊してきた歴史とも言えます。
戦争は産業の発展とも大きく関わり、戦車の技術が農業機械を、毒ガスが農薬を、爆弾の技術が化学肥料を作り出してきました。
農業者だけでなく、地球上に住む私たち一人ひとりがその恩恵を受けてきたのです。その結果、土は痩せ、栄養価が低い作物が作りだされ、様々な病気の発生など、私たちの健康被害へと繋がっています。
リジェネラティブとは「環境再生」と訳されています。
私たちはこのビジョンを掲げ、生産、製造、小売、流通の全ての面において、リジェネラティブな取り組みを行っていきます。
不耕起(省耕起)栽培や緑肥、カバークロップなどを用いて自然環境を再生し、生物多様性の保護や次世代に健全な土壌を継いでいくことを目的とした農業です。
土壌の有機物を増やすことでCO2を貯留し、気候変動を抑制する効果も期待されています。
リジェネラティブ農業の具体例として、以下の「健全な土壌6原則」が挙げられます。
(ゲイブ・ブラウン著「土を育てる」より引用)
「農林水産省サステナアワード2023受賞」
農林水産省が食や農林水産業に関わるサステナブルな取り組みを表彰するサステナアワード2023でAgVenture Lab賞を受賞しました。
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/b_kankyo/240125.html
「ベーカリーが応援する環境再生型農業の取り組み」として、リジェネラティブベーカリーの活動をまとめました。
「パンづくりを通じて、次世代に健全な土壌を紡いでいく」。をコンセプトに2023年に立ち上げたプロジェクトです。2023年には国産ライ麦を使ってパンを作る「国産ライ麦応援プロジェクト」を開催。
全国から11人のシェフが賛同し国産ライ麦の魅力の共有やより良い環境を未来につないでいくためのアイデアなどについて熱く語り合いました。
食物繊維やミネラルをバランス良く含み、健康づくりに役立つことで知られるライ麦は、実は土壌改善にも効果を発揮する作物。ライ麦を植えると土中深くに伸びた根が土を耕し保水性・排水性の良い畑に。輪作品目に加えることで連絡障害の軽減にも繋がります。
2022年から栽培を推進しているライ麦は、日本で広く普及している緑肥用品種ではなく、有機農法用にアメリカで育種された「ハンコック」という食用品種。
土壌改良に役立つとされるライ麦。そのため栽培を希望する農家も多いのですが、その行き先はまだまだ少ないのが現状です。国産ライ麦を広め、リジェネラティブ農業の実現につなげていくためには、生産のしやすさはもちろん、その後の販売先も重要です。
「他の国産ライ麦に比べて、ハンコックは水分保持力が高く、成形しやすい」
「焼き上がりの表情もいい」
「ライ麦パンは酸っぱくて苦手という消費者がいるがライ麦自体に酸味はない。作り方を工夫する必要がある」
など、シェフたちからは多様な意見が。需要拡大を目指すのであれば、食べやすさ、親しみやすさ、作業性の良さは必須条件。パンだけでなくお菓子作りにも使えるため、今後の可能性に期待が集まりました。