アグリシステム株式会社

自然と人が共生する新たな文明を築く

2025経営指針発表会

 

2025年4月。毎年恒例となる全社員での経営指針発表会が今年も開催されました。昨年取り組んだリジェネラティブ農業(RA)を、さらにアグリシステムらしく進化して提示された今年の指針。社長の発表から、アグリシステムが目指す世界についてお伝えします。

 

 

向き合うべき社会課題

 

日本は今、農業・教育・医療の崩壊という深刻な社会課題に直面しています。農業王国と称される十勝でさえ、農業コストの増大による経営の難しさ、長年にわたる除草剤や化学肥料の多用による土壌の劣化などの問題が山積し、持続的な農業が危ぶまれる状況です。

 

また、食生活の劣化による健康問題も深刻であり、2023年度の日本の国民医療費は約47兆3,000億円に達し、2000年度から約17兆以上、実に57%近く増加しています。これは高齢化や医療技術の進歩といった構造的要因だけでなく、私たち一人ひとりの「暮らしの質」に起因するものであると考えられ、加工品や添加物に偏った食生活、運動不足、ストレス過多といった生活習慣の乱れが、生活習慣病や慢性疾患、子どもたちの発達障害の増加を招き、結果として医療費の膨張を後押ししています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※厚生労働省 国民医療費の概況より

 

さらに、日本は現在極めて低い食料・エネルギー自給率という重大な課題を抱えています。2022年度のカロリーベースの食料自給率はわずか38%。また、2020年度のエネルギー自給率も11.3%にとどまり、先進国の中でも最低水準です。

 

IEA「World Energy Balances 2021」の2020年推計値、日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2020年度確報値。※表内の順位はOECD38カ国中の順位

 

出典:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2021年度速報値

四捨五入の関係で、合計が100%にならない場合がある。
再エネ等(水力除く地熱、風力、太陽光など)は未活用エネルギーを含む。

 

私たちの現在の暮らしは、日々の食料から電気・燃料に至るまで、海外からの輸入に大きく依存する形で成り立っています。こうした状況の中、台湾有事のような地政学的リスクが高まると、海上輸送路の混乱や封鎖が起こり、日本への供給が途絶える可能性も否定できません。特に東アジアの緊張が高まれば、食料やエネルギーの安定供給が脅かされ、経済・社会活動全体に深刻な影響を与える恐れがあります。

 

 

文明の在り方そのものを根本から見直す

 

近年までの過去500年にわたる物質文明は、産業の発展や技術革新をもたらした一方で、植民地支配、奴隷制度、環境破壊といった深い影を残してきました。不完全な自然科学の元で、人間は自然を制御し、神をも超えようとする傲慢な歩みを進めてきましたが、その結果、文明の進化は停滞し、地球と人類の双方が危機に瀕する事態となっています。

 

この複雑で深刻な時代を乗り越え、持続可能で調和のとれた未来を築くためには、これまでの延長線上に答えを求めるのではなく、新たな文明を創造する必要があります。

 

 

 

 倫理的環境農業(Ethical Circular Farming/ECF)

 

※倫理性を中心軸に据えた、資源と生命の循環型農法。現代文明への問いかけを内包。

 

このような時代の転換点において、私たちが進むべき道は「精神性」と「倫理観」を取り戻すことです。その実践的な手段としてECFを提唱します。

 

<倫理的環境再生型有機農業(ECF)の定義>

 

・中川農法:自然栽培、多品目栽培、多品目緑肥、省耕起、瞑想などを組み合わせた農法
・リジェネラティブオーガニック農法:不耕起、多品目緑肥、カバークロップ、有畜農業
・自給肥料:光合成細菌、πウォーター、フルボ酸など

 

基本原則
外部からの資材投入を最小限に抑え、農場内での資源循環を重視する。低コストで高品質の農業生産、環境保全、人間の健康の三位一体の工場を目指す

 

これは単なる”持続可能な農法”ではなく、土壌や水を再生し、生物多様性を回復しながら、人間の健康と生命を根幹から支える「生態系循環システム」です。ECFによって作られる生命力の高い食材による健やかな食生活、地域資源を活かし輸入依存を減らしたエネルギーの自給。食とエネルギーの”本質的な自給率”を高めることで経済の自立性も高めます。

 

農業は衣食住のすべての源です。農林業のあり方をECFへ転換することは、人類の進化を再び前へと進めるための「文明的選択」と言えるでしょう。

 

私たちは今、農業を軸とした環境再生と健康社会の実現を通じて、日本の再興、さらには人類の新たな文明の創造を担う時代に生きています。

 

<2025年の具体的施策>
これらの取り組みの進捗については、随時ホームページでご紹介する予定です。
ECFのロールモデル構築〜ECF農場への再編
※基幹作物の増産〜米・大豆・小麦の生産体制の再構築
※アグリフォレスト(森林農法)の導入
※オーガニックの地域循環モデルの推進
※福祉と教育を結ぶ「循環型農育モデル」

 

 

自分の選択が未来を変える

 

私たちがこうした課題を前に立ちすくむ最大の理由は、実は”意識の分断”にあります。本来、私たちは地球というひとつの生命体の一部であり、その営みに責任を持つ存在です。にもかかわらず、現代社会では「環境問題も健康問題も、自分には関係ない」「誰かがなんとかしてくれる」という他人事意識が広がり、自分の暮らしや選択が社会や地球にどう影響を与えているのかを見失いがちです。

 

ですが今、これからの時代を生きる私たちには、「自分の選択が未来をつくる」という感覚を取り戻すことが求められています。未来を変えるのは、大きな制度や仕組みだけではありません。ひとりの生き方、ひとつの食卓、ひとつの畑から始まる小さな変化こそが、やがて大きなうねりとなり、新しい文明を形づくっていくのです。

 

 

「ここから始まる一歩が、やがて世界の流れを変える一歩になる」
私たちは、その希望を信じて「未来の子どもたちのために」今、目の前にある土を癒し、健康な作物を育て、食卓を整えること。それは次の世代に残す”見えない贈り物”です。地球の一部として生きるということは、みずからの足元に責任を持ち、暮らしを整え、自然とつながり直すこと。今期、指針として掲げたECFはその第一歩を可能にする確かな方法です。
「地球に対して、そして未来の子どもたちに対して、果たすべき責任は何か」と問い続けながら暮らすことが、希望ある文明への道なのだと確信しています。

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