アグリシステム主催の生産者感謝祭は、年に一度、冬期の農作業が落ち着いた時期に開催されます。
このイベントは、農産物を出荷してくれる生産者に対する感謝の気持ちを込めて、アグリシステムの農産フィルドマンが中心となって企画されています。
別途、道内各地で「生産者説明会」も開催されており、こちらは会社方針や昨今の情勢、出荷状況情報を説明する場となっていますが、感謝祭は少しお楽しみな要素もあり、ご夫婦やご家族で参加する生産者もいらっしゃいます。
2023年度の感謝祭は、2024年1月24日にベルクラシック帯広で開催されました。雪が降ったため、当日来られなくなった方もいましたが、道内各地から60名以上の方が参加しました。
まずは社長から農業情勢や今年度のプロジェクトについてプレゼンテーションが行われました。有機栽培への転換に取り組む生産者が増えている一方で、転換期間中の有機農産物の在庫増加による流通の課題を解決するために行われた「有機転換ポジティブキャンペーン」や、土壌改良に有効なライ麦栽培、日本でのライ麦の消費拡大を応援する「リジェネラティブ・ベーカリー」の取り組みなどが紹介されました。
これらの取り組みは、Youtubeで世界に発信され、農水省主催の「サステナアワード2023」で受賞。循環型農業の取り組みが社会的に注目されていることが伝えられました。
その後、有機農産物の流通に関わっている有機コンソーシアムからの講演が行われ、オーガニック市場での需要や商品の不足について学びました。
また、アグリシステム関連会社のトカプチからは、有機栽培についての発表がありました。中川農法を取り入れつつ、雑草の抑制に成功した事例や土づくりの具体的な実践、今後の不耕起栽培への取り組みなどが共有されました。
今回の感謝祭では、「試食交流会」という新しい試みも行われました。道内の取引先に声をかけ、生産者の農産物を使った商品を試食する時間が設けられました。
参加者同士の交流を促すために企画されたこの試みには、中田食品、はるこまベーカリー、加納製パン、道東製めんなどがブースを設けて商品を提供しました。
また、資材の生産を行っている環境大善も試供品を持って参加しました。アグリシステムからは製あん会社提供のあんこ3品種食べ比べ、トカプチからはオーガニックチーズとオーガニックワインが提供されました。
参加した生産者やブース出展者、アグリシステムの社員たちは、美味しい豆乳やパン、焼きそばなどを楽しみながらお久しぶりの方と話したり、新しい出会いが生まれたり。
後半では、販売部から直近の生産物販売状況について報告。生産が足りていない品目や品種、引き合いのある取引先や購入可能な商品が紹介されました。
また、農産フィルドマンからは、「超低コスト高品質農業への道」というテーマで、コストを抑えながら良い作物を生産するためのポイントが発表されました。効果的な肥料や農薬の使用削減、緑肥の重要性、必要最低限の機械投資などが再評価され、より良い農業の実践につながることが強調されました。
最後に、道内外のベーカリーやトカプチの有機米がお土産として配られ、感謝祭は終了しました。短い時間でしたが、有意義で楽しい学びと交流の場となりました。
※文中、敬称略