創業当初からオーガニックや有機栽培に力を入れ、それを核として「北海道オーガニックデザイン風土火水」や「北海道オーガニックヴィレッジ」などを主催してきたのには、創業者伊藤エイシンの強い思いがあります。
「便利や効率と引き換えに、心と体の人間らしさ、自然への畏敬の念、みずからの手で作り出すこと、子どもが子どもらしく生きることなど、手放してきてしまったものがたくさんある。未来の子どもたちのために、もう一度その世界を取り戻したい」
かつて人があたりまえに手にしていたもの。星や太陽の動き、自然界からのメッセージを受け取りながら、暮らしそのものをみずからの手で作り、畑を耕し、人に教え、知恵を継いでいたこと。私たちは、そんな精神性の伴うものづくりを今一度つくっていけたらと思っています。
みずからの手でつくる衣食住
AI・電気自動車・スマートフォンなど、私たちの生活はどんどん便利になり、表面的には効率が良くなっています。それに伴い、電力使用量は爆発的に増え、自然エネルギー(太陽光発電/風力発電)でどんどん電気を作り出しています。自然エネルギーは大規模に森林や田畑を開発・破壊し、温暖化を促進し、乱気流を発生し、電磁波などの問題を生み出しています。
また、私たちの心と体にも出生率の低下や精神病の増加、発達問題の増加、化学物質過敏症、電磁波過敏症、ガン・糖尿病などさまざまな影響を受けています。
一体いつから、私たちはこんなにも無機質なものに囲まれて生きるようになってしまったのでしょうか?
大昔、身の回りにあるものがすべてでした。必要なものは種を蒔いて育てました。生き物の皮や育てた植物で衣服を作り、山や川から食べるものを分けてもらい、土を耕すようになってからは、種をまき育て、それを収穫して暮らしていました。そう、誰のためでもない。自分たちや家族が今日を、明日を生きるため、がすべてだったのです。
雨風を防ぐような家を身近にある木や藁、石や土で作り、わずかな灯りをともし、火をおこし、空を仰ぎ見ながら暮らす。
今とは比べ物にならないくらい、自然界や宇宙とつながりながら生活を送ってきたのです。
誰もが安心して暮らせるコミュニティ
私たちの「北海道オーガニックヴィレッジ」構想は、単なるイベントだけではありません。良心と倫理と精神性に基づき、国家とお金とエネルギーにできるだけ頼らずにも暮らしていける、そんなコミュニティを目指しています。
農家と消費者が結びつき、自然と共生しながら自給できる村。そこでは、子どもは子どもらしく過ごし、大人も個人個人を大切に尊重されながら、対話が生まれ、安心して暮らせる世界です。
子どもたちには必要な教育を、誰もが適切な医療を受けられることも暮らしの中では欠かせません。穀物を栽培し、家畜を育て、エネルギーも自給しながら暮らす。それが今この時代を生きてきた私たちが未来へ残せるものだと思うからです。
子どもが子どもらしくいられる教育
子どもは親を選んで生まれてくると言われています。子どもは純粋な存在で、おもちゃやテレビゲームがなくても、自然の中でさまざまな独創的な遊びを開発し、夢中になって続けていきます。学力で評価される今の教育現場では、精神疾患、発達障害と呼ばれる子どもたちも出てくるようになりました。「感じる」子どもたちは「過敏症」として扱われるようにもなっています。子どもの世界は、もっと自由で多様性に富んでいていい。
私たちはコスモス森の学校という教育農場を通じてシュタイナー教育を軸とした教育の場所づくりも進めています。
子どもたちは未来の希望です。子どもたちにとってもさまざまな教育の場所を選択できる世の中になればと願います。