2025年7月7日〜9日にかけて、2025年の小麦畑ツアーが行われました。2日目に訪れた伊場ファーム(浦幌町)、小笠原農園(幕別町)、中川農場(音更町)での様子をリポートします。
※製粉事業の始まりと小麦ヌーヴォーへの思いはストーリー「小麦、はじまりの物語」からどうぞ。
有機野菜を育て、カフェで味わう
〜小笠原農園〜
全圃場で有機JAS認証を取得
2件目は幕別町にある小笠原農園へ。代表の小笠原保さんが麦わら帽子姿で待っていてくれました。
小笠原農園は、農園と隣接するカフェ「灯里(ひより)」をご家族で経営されています。まずは自宅の周辺にある畑を見学。
ポワロ(西洋ネギ)は9月〜12月にかけて収穫、出荷される野菜。今後成長していくと畝が塞がるようになっていきます。収穫時の通路には緑肥として紫の花が綺麗なハゼリソウが植えられていました。
続いて案内してくれたのは、小豆畑。もちろんこれも有機小豆です。全く雑草がなく手入れが行き届いているのがわかります。
小豆の隣には北海コガネという品種の馬鈴薯が。こちらは連作4年目だそうです。
通常十勝の畑では、病害虫のリスクなどの理由から畑をローテーションさせる「輪作」が行われていますが、小笠原さんは「輪作から解放されれば、好きな場所に好きなタイミングで好きな作物を育てられる」と、連作をしてみました。2年目は生育が良くなかったとのことですが、3年目は良く、4年目の今年はさて、どうなるでしょうか。
一年ごとにしか結果のでない農業ですが、それにチャレンジする小笠原さんです。

育苗にはEM菌を使用しているとのこと。「土壌にとって微生物が偏らない環境」を作り出している。
※EM菌 (EMとは、Effective Microorganismsの略で、日本語では「有用微生物群」を指します) は、乳酸菌、酵母、光合成細菌など、様々な種類の微生物の集合体。土壌中の微生物のバランスを整え、土壌改良、病害虫抑制、作物の生育促進に役立つとされています。
あらゆる作物があちこちで育っている小笠原さんの畑。ハウスの横ではアスパラの立茎栽培を。
すでに20年というアスパラですが、元気そのもの。十勝マッシュの馬糞堆肥を使用し、7〜9月まで出荷できるよう調整しています。初夏のイメージが強いアスパラですが、夏の時期は「淡い緑色が綺麗で、やわらかい」と小笠原さん。その味をカフェで楽しめるのも嬉しいところです。
直売所からカフェへ
就農後すぐに大豆と小麦の有機栽培を始めた小笠原さんですが、翌年には妻の美奈子さんも「農園で採れた野菜を美味しく食べてもらいたい」との思いから農産物直売所「農家のお店『ひより』」を開店。令和2年にはカフェとして改装し、現在は「灯里(ひより)」として季節ごとの野菜を様々にアレンジしたランチを提供しています。(カフェタイムもあり)
「こんなとこに誰が食べに来るのか」と言われた、というエピソードをも披露してくれた美奈子さん。現在は娘さんとパートナーも加わり、さらに充実したラインナップで、多くの人をもてなしています。

カフェスペースの奥には雑貨や小笠原農園の加工品などを販売するスペースが。ここでイベントなどを行うこともある。

この日のメニューは
黒千石大豆のご飯、アスパラのコロッケ、きゃらぶき、コールラビの梅マスタードマリネ、セロリのきんぴら、大豆のペペロンチーノ、クミンのキャロットラペ、アスパラの焼き浸し、セロリの胡麻和え、車麩のバジル味噌カツ、人参ロースト、ネギと塩麹の卵焼き、朝採りレタスのサラダと盛りだくさん!

小笠原農園の保さんと美奈子さん。
<参加者の声>
昼食時にはテーブルで同席した人たち同士、話も弾みます。
神戸市灘区から参加した小林さんはヌーヴォー初参加。お店では国産の小麦粉を使用しています。まだまだ認知度の低いライ麦パンやロブロについては、「その食卓をイメージさせることがパン屋のやる仕事。ライ麦パンはまだそのシーンが育っていない。テーブルに乗った時にどうやって食べるか、までを提案してあげたいと思う」と話してくれました。
小笠原農園
幕別町南勢181
https://www.instagram.com/ogasawara_nouen375/
カフェ 灯里
https://www.instagram.com/hiyori_farm_and_table/
⚪︎敷地面積:18ha
すべて有機農業で、小麦、小豆、馬鈴薯、玉ねぎ、レタス、キャベツ、トウモロコシ、ポワロ(西洋ネギ)、アスパラなど多品種を栽培。令和2年全圃場で有機JAS認証を取得。