2025年7月7日〜9日にかけて、2025年の小麦畑ツアーが行われました。2日目に訪れた伊場ファーム(浦幌町)、小笠原農園(幕別町)、中川農場(音更町)での様子をリポートします。
※製粉事業の始まりと小麦ヌーヴォーへの思いはストーリー「小麦、はじまりの物語」からどうぞ。
作物を観察し探究し続ける
〜中川農場〜
今回初めての小麦ヌーヴォーツアーの視察先となる音更町の中川農場。アグリシステムとの付き合いも深い中川さんの畑を目当てに参加された方もいるほど。それは中川さんの農業へのスタンス、作物への探究が独特の世界観、価値観の上に成り立っているからだと思うのです。
「気持ちが良い場所」と中川さんもアグリシステムのフィルドマンも話す、中川農場の小麦畑は、音更町の丘の上、白樺並木のそばにありました。白樺の木陰と丘にふく風が炎天下でも涼しく感じられる場所。中川さんはここで55haの広さの畑を半分休ませ、20〜30haで小麦やライ麦、大豆、緑肥などを育てています。
また、播種から管理作業、収穫、さらには直接販売と、そのすべてを中川さんが一人で担っています。元々は農薬も化成肥料も使っていた中川さんですが、作物の生育を見ながら、少しずつその量を減らしていった結果、「農薬をやらなくてもできる」という結論に。
「なんでもやりすぎはダメ。有機質肥料といっても、やりすぎはよくない。腹八分目が健康なんです」。現在では、肥料も農薬もやらない、独自の自然農法のスタイルを貫いています。トラクターも多くを持たず、肥料も上げないとなると、当然コストもかかりません。
「面積を増やせば、機械が大型化していって、体が回らなくなる。コストもかかるから残るお金が少ない。悪循環になると思います」

こちらはきたほなみの圃場。雑草もなく美しい景観が広がる。

カバークロップを植えて、土を見せない。2025年は、敢えて何も植えなかったらどうなるんだろう、という土だけの畑も!

中川農場の代表中川泰一さん。観察と探究はピカイチ。
中川さんの畑では聞きなれない言葉が多く聞かれます。古代小麦と呼ばれるスペルト小麦やエンマー小麦、1万2000年前から栽培されてきたというアインコーン小麦、20~30種の小麦の種を混ぜて蒔くというブレドゥポピュラシオンの畑。12年目というこの畑は中川さんにとっても思い入れの深いもの。
「今まで自分が育ててきた小麦が全部入っている。この畑に立っていると、その時々に出会った人々の顔が浮かんできますね」と中川さん。
中川さんの粉はアグリシステムで購入できるほか、中川さんからは直接原麦のみで販売しています。製粉機を持っているベーカリーであれば、そこで挽きたての粉を使ったパンが焼けるのです。
<中川農場からアグリシステムへの応援メッセージ>
強い信念を持ってやっている会社だと思う。「未来の子どもたちのために」という思いが決してブレないですね。環境を良くしようとか、体に良いものを食べようとか、そういった会社の姿勢に私も共感して、応援させてもらっています。

ブレドゥポピュラシオンの畑に立つ中川さん。背丈の低いもの、高いもの、野毛があるものないもの、色も形も様々な小麦がひしめき合う、多様な畑。
中川農場
音更町駒場並木
⚪︎敷地面積:55ha
暑い中で行われた小麦ヌーヴォーの畑のツアー。参加者の皆さん意識が高く、農業のこと、小麦のことなど、色々と都度質問される場面が多く見られました。
皆様、暑い中お疲れ様でした! そして、視察に快く応じてくださった生産者の皆様、本当にありがとうございました。